市民公開講座のご案内

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市民公開講座
開催日時
2021年10月16日(土)17:30 – 18:30

第37回 日本義肢装具学会学術大会 特別講演4

参加費
視聴無料

本プログラムは市民公開講座として一般の方が無料でご視聴いただけます。

タイトル
救いたい!今動き出した⼩さな⼀歩 ~一羽の絶滅危惧種に義肢装具⼠ができること~

本プロジェクトは2021年04月20日(火)「片足のコウノトリにぴったりの義足を」の特番で NHKで取り上げられました。是非、ご視聴ください。

出演者
演者:川上 紀子(神戸医療福祉専門学校三田校)
座長:宮谷 定行(川村義肢株式会社)
演者より
 絶滅危惧種にも指定されている特別天然記念物のコウノトリに関して、兵庫県立コウノトリの郷公園の調査によると、年々、救護や死体回収される野外コウノトリが増加している。鳥獣対策用のネットに絡まったり、電線や送電線にぶつかったり、交通事故にあったりなど、人間の活動が原因となっているものが全体の43.5%にも及ぶ。今年の1月に保護された片足を失ったコウノトリも、国内では狩猟のため使用が禁止されている小動物用の罠のトラバサミに挟まった可能性が指摘されている。24時間立ったまま生活するコウノトリは片足では生きていく事が難しく、義足製作を考えた獣医師の松本令以先生と共に義足プロジェクトを開始した。

 残された健側にかかる負担の軽減を第一目標に、採型から適合まで行い、コウノトリに負担が無く誰もが装着しやすい義足を製作している。人間と鳥類では、骨の大きさなど身体の構造が異なり、鳥類の義足製作に関する情報が少ないこともあって義足製作には苦戦している。健康なコウノトリの観察や骨格標本を基にこれまでで3つの仮義足を製作してきた。義足で大切になってくるアライメント問題では、人間の義足は一般的にアライメントが決まっているのに対し、鳥類の義足は決まりがないため試行錯誤中である。今後は、本義足に向けた調整や、体が軽く足が細い鳥類になるべく軽い材料選定が必要となる。義足製作も大事ではあるが、一番大事なのはコウノトリの体調であり日々変化する体調や健側の状況にペースを合わせ取り組んでいる。

 テレビや新聞などメディアを通して、少しでも絶滅危惧種の実態を知ってもらう機会が増える事により、人間が原因の怪我や事故が無くなる環境にしていきたいと思っている。そして、怪我をしてしまった動物を手助けする人に、今回の義足製作方法や使用材料などの情報を残す事で、次への足掛かりになればと思う。

 コウノトリの断端へ負担が無く、長時間使用できる義足ができたなら、室内ケージで過ごしているコウノトリが屋外ケージで過ごせる未来に向け頑張りたい。
演者略歴
神戸医療福祉専門学校三田校義肢装具士科4年制 専任教員

資格:義肢装具士(日本国国家資格)
   福祉用具プランナー
義肢装具国際活動:国際義肢装具学会(ISPO)会員
ライブ配信サービス

どなたでも無料でご視聴いただけます。

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